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第25章 新田 誠治 ー プロポーズの後 ー
桜子さんの仕事終わりは終電後だから、帰りはタクシーだな、と思って現金は多めにおろした。
車で行こうかとも思ったが、閉店までの数時間をソフトドリンクだけで潰せる自信もない。1人で車でスナックに来るなんてどう言う了見だ、って気もするし…
電車で長岡京まで行き、通い慣れた店に入った。
桜子さんと喋るのが目的だし、初回に醜態を晒して以来、あまり深酒はしない。
夜11時近くなった頃、

「桜ちゃん、そろそろ上がっていいわよ?」

「はい、じゃ、お先に失礼します。」



疑問符を浮かべて目を瞬かせた俺に、桜子さんがアイコンタクトをしてくる。
俺も、そろそろお会計お願いします、とママに告げて店を出た。
店を出た所でぼんやりしていたら、薄手のコートを羽織った桜子さんが裏口から出てきた。

「行きましょうか?」

「…よかったの?」

「今日は、用があるから早めに上がらせてほしいってお願いしてたんです。だって、電車があるウチに行かないと、ここからタクシーじゃ、結構かかるでしょ?」

「……」

桜子さんの気遣いは、素直に嬉しかった。
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