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第25章 新田 誠治 ー プロポーズの後 ー
実家でももちろんそうなんだけど。
実家だと、おかんは慣れてきてるけど、親父が俺に気を遣ってるのがわかるから、飯だけ食ったら早々に引き上げる、のが常で。
中々のんびりはできなかったから。

桜子さんと結婚したら、ウチに帰ってくるのが楽しくなりそうだ。と素直に思えた。

夕飯を食べ終え、桜子さんが帰り支度を始めると、誠大がぐずり始めた。

「ママ、一緒に寝るって言ったのに!」

「まだ、結婚してないからママじゃないんだよ!」

「早く結婚してよ!今すぐに結婚してよぉ!帰っちゃやだよ!」

「我儘言うな!はい、バイバイって!」

強引に手を持って振らせようとした俺の手を振り切り、誠大は右手を抱え込んで隠した。

「バイバイしない!バイバイしたらもう会えなくなっちゃうもん!」

わぁわぁ大泣きする誠大に、満希もつられて泣き出し、収拾がつかなくなって。
バイバイしたらもう会えない、なんてことをこんな子供に経験させてしまってるコトを、申し訳なく思ってしまった。
そういえば、保育園でも、朝の挨拶は元気よくするのに帰るときは友達がバイバイと言っても挨拶をしない、と連絡帳に書かれたコトがあるのを思い出して。
ちゃんと挨拶しなきゃダメだぞ、と注意したくらいで、この子が何をどう考えてるか、なんて思い至りもしなかったな、と反省した。
誠大は、バイバイを永遠の別れだと認識してたんだ…
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