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第27章 幸村 順一
千春は2人きりになると、俺のことをあっくんと呼ぶ。
嵩輝(タカアキ)の、アキ、で、あっくん。

タカ、と呼ばれることはあったけど、あっくんとは呼ばれたことなくて。最初はくすぐったかったけど、2人だからまぁいいか、と思って、最近やっと慣れてきた。

「…店の人にお任せだから。選んだかと言われると、どうかな…」

「………」

千春は眉間にしわを寄せ、唇を噛み締めて花束を睨んでいる。

えぇ〜…ナニこの反応…

失敗?ダメだったか?と思った瞬間。

千春がガバッと抱きついてきた。

「すっごいキレイ‼︎ こんなの初めて貰う!」

あ、感極まってた感じ…?

「ありがとう‼︎」

手に持ったままだった鞄を玄関に落とし、首にかじりついたままの千春を片手で抱き寄せて。

「良かった。何がいいかわからんから散々悩んだよ」

「こんなの貰って嬉しくない訳ないじゃない!」

千春は頰に、首に、何回もキスをしてくれる。

「わかったから。続きはまた後でして。先に飯食いたい。」

「わかった。すぐ用意するね。」


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