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第28章 萩原 義隆 ー 過去編 ー

息子の隆行が、万引で補導された。
そう聞いても何かの間違いだろうとしか思わなかった。
だが、間違いだとしても、それを冗談だろうと聞き流すことは出来ず、直ぐに署に向かう。
自宅からほど近い交番で、警察官と、スーパーのエプロンの上からジャンパーを羽織った40がらみの男。
ジャンパーに店長、と書かれた名札がついている。
そして、椅子に座らされているのは、間違いなく隆行だった。
「隆行!何だ万引って!」
思わず怒鳴った私を、警官と店長が宥める。
「お父さん、落ち着いて下さい。」
「…何を盗ったんですか!」
「弁当と、惣菜、です。」
「弁当?何でそんなもの…家にご飯があるだろ?」
隆行は俯いたまま、ぶんぶんとかぶりを振った。
「何でだ!お母さんは?」
再度かぶりを振る隆行。私は一気にパニックに陥った。
「萩原さん、落ち着いて下さい。息子さんにはあらかた聞いてます。学校から帰ったら、お母さんは何処かに出掛けて居ないそうです。最初はご飯があったけど、ここ何ヶ月かはずっと千円札が置かれているだけで、それで弁当を買って食べていたけど、それもあったりなかったりで、ない時は空腹に耐えかねて万引をしていた、ということです。」
そう聞いても何かの間違いだろうとしか思わなかった。
だが、間違いだとしても、それを冗談だろうと聞き流すことは出来ず、直ぐに署に向かう。
自宅からほど近い交番で、警察官と、スーパーのエプロンの上からジャンパーを羽織った40がらみの男。
ジャンパーに店長、と書かれた名札がついている。
そして、椅子に座らされているのは、間違いなく隆行だった。
「隆行!何だ万引って!」
思わず怒鳴った私を、警官と店長が宥める。
「お父さん、落ち着いて下さい。」
「…何を盗ったんですか!」
「弁当と、惣菜、です。」
「弁当?何でそんなもの…家にご飯があるだろ?」
隆行は俯いたまま、ぶんぶんとかぶりを振った。
「何でだ!お母さんは?」
再度かぶりを振る隆行。私は一気にパニックに陥った。
「萩原さん、落ち着いて下さい。息子さんにはあらかた聞いてます。学校から帰ったら、お母さんは何処かに出掛けて居ないそうです。最初はご飯があったけど、ここ何ヶ月かはずっと千円札が置かれているだけで、それで弁当を買って食べていたけど、それもあったりなかったりで、ない時は空腹に耐えかねて万引をしていた、ということです。」

