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第28章 萩原 義隆 ー 過去編 ー
桜子が出て行ってから私は勿論カプセルホテル生活を止め、きちんと家に帰っていた。週末は2人で簡単に外食したり、不完全な自炊で適当に作ったりして、出来るだけ2人で過ごすようにはしたが、平日は別々。
食事代はきちんと渡していたし、それ以外にもカップラーメンだのインスタントカレーだの冷凍食品だの、湯を入れたりレンジで温めるだけの食品をしこたま買い込んでいたから、腹を空かせて万引をすることももうなかった。
隆行の万引は、ストレスからスリルを味わいたい、というものでもなかったから、再犯はなさそうだった。

グレて不良の道に走っても致し方ない、と思いながら、今学校に行く意味、をコンコンと説いたら、こくりと頷いて、解った、と言った。私は良くも悪くも損得勘定でしか物事の説明が出来ず。
メリットとデメリットを強調して話してしまったが、そのデメリットを実感するのは痛い目を見てから、なんだろうな、と思った。
まだ小学生の息子に、包み隠さず話せる内容でもないが、自分の人生こそが、反面教師みたいなもんだ。
そこそこな収入を得られてたって、成功なんてお世辞にも言えない、この虚しい人生…



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