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第29章 望月 朋会
夕方、夕飯の支度も済ませて、庭木に水をやりに出たら、駅の方から歩いてくる順ちゃんが見えた。

時間は午後7時前。

「こんばんは。」

「おぅ、トモ。望月さんはまだ帰ってないの?」

「もうすぐ帰ってくる。さっきメール来たから。」

「そか。」

「今日、晃一くんと美桜が来たの。」

「アイツらよく来るなぁ…まぁ近所だからな。」

「まだ赤ちゃんの性別はわからないらしいけど。美桜が生まれた時に清美さんが編んでくれたベビードレス、女のコだったら着せるって持って帰ったわ。」

「ベビードレス?清美が?そんなの作ってたんだ?」

「オトコはなーんにも知らないのね。」

そう言って、イヤリングを見せつけるように髪をかきあげた。

「はは。そうかも。」

笑う順ちゃんは、私のイヤリングに気づく気配もない。
このイヤリングが、自分が買ったものだなんて、きっともう覚えてない。そういう人だ。

「じゃあ、ね」

「あぁ。」

「清美さんに宜しく。」

「おぅ。」

順ちゃんは手を振って歩き出し、私は家に入った。
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