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第29章 望月 朋会
「色々引っ張り出した時にね、出て来たのよ。昔のイヤリングが。だからちょっとつけてみただけ。」

「ふーん…」

納得いってなさそうな顔で片眉を吊り上げる。

「気になる?」

「…別に…」

「気になるんだ?」

「…解ってるなら焦らすなよ。」

「初恋の人からのプレゼント。」

「…それって、幸村さんのこと?」

…覚えてたか…

私は観念して頷いた。

「別に未練があるとかじゃないわよ。ただ、懐かしくてつけてみただけ。それに偶然順ちゃんにもあったけど、イヤリングなんて気づきもしなかったし、そもそも気づいたところで自分があげたものだなんて覚えてもないわよ、きっと。」

「…まぁ、贈った方は案外そんなモンかもな。好きなコに努力して買ったものなら記憶にも残るだろうけど、近所の女の子にあげたモノなんてお菓子と同レベルだよ。…なのにそんなもの、未だに大事にとってあるあたりが憎らしいけどね。」

「…妬いてくれるの?だったらつけた甲斐あるわ。」

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