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第30章 幕間…SS集…⑤

「…今年は…結婚したから去年よりは少ないと思います。同じ部署の女性からは貰えると思いますけど。」
「…ま、時代もありますしね。社長のお若い頃はそれはお見事でしたよ。大きな紙袋を3つ4つは当たり前でしたからなぁ…」
マジか…
なんか、それが戸田さんの武勇伝なら素直に凄い、って言えるのに、親父だと言われると、凄いって言えない…
負けた気がして悔しい…
「会社で貰えるモノは義理チョコだの義務チョコだの、色々あるそうですが、そもそもチョコレートに拘るのも日本だけですし。ただの菓子メーカーの販売戦略です。頂けるものは有り難く頂きますが、競うことでもないでしょう。そんなものなくとも、妻からの労いの言葉だけで私は満足ですよ。」
「…流石ですね。」
「いえいえ。ジジイの負け惜しみでございます。」
エレベーターが止まり、営業部のフロアに着いた。俺は降りながら、戸田さんに頭を下げた。
「では。」
戸田さんも軽く会釈してくれる。
部屋に入り、自席に行くと、デスクの隅にいくつか箱が積み上げられている。
…よかった。
俺はやっぱりあそこまでは達観できないや。
義理でも何でも、チョコ嬉しいもん。
今年も貰えて、良かった。
「…ま、時代もありますしね。社長のお若い頃はそれはお見事でしたよ。大きな紙袋を3つ4つは当たり前でしたからなぁ…」
マジか…
なんか、それが戸田さんの武勇伝なら素直に凄い、って言えるのに、親父だと言われると、凄いって言えない…
負けた気がして悔しい…
「会社で貰えるモノは義理チョコだの義務チョコだの、色々あるそうですが、そもそもチョコレートに拘るのも日本だけですし。ただの菓子メーカーの販売戦略です。頂けるものは有り難く頂きますが、競うことでもないでしょう。そんなものなくとも、妻からの労いの言葉だけで私は満足ですよ。」
「…流石ですね。」
「いえいえ。ジジイの負け惜しみでございます。」
エレベーターが止まり、営業部のフロアに着いた。俺は降りながら、戸田さんに頭を下げた。
「では。」
戸田さんも軽く会釈してくれる。
部屋に入り、自席に行くと、デスクの隅にいくつか箱が積み上げられている。
…よかった。
俺はやっぱりあそこまでは達観できないや。
義理でも何でも、チョコ嬉しいもん。
今年も貰えて、良かった。

