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第30章 幕間…SS集…⑤
「…この状態で、何もないとしたら…映画かドラマの撮影くらいだろうね…」
そうとしか言えなかった。だってホテルの一室で、裸の男女が同じベッドに寝てるんだぞ?安い映画の事後シーンしかありえないだろう…
「…ですよ、ね…」
誘ったのは君の方じゃないか、なんて、言っても仕方がない状況なことくらいは理解ってる。でもじゃあ何と言えばいい?
可愛いと思ったことは事実だが、だからといって責任を持って交際なんてできる立場でもない。そもそもそんなこと彼女が望む訳がない。素面になってそんなこと言えるとしたら、そりゃ相当な老けセンだろ…とそこまで考えて、自分で考えたことなのに若干凹む。
幾らか払うか何か望むものでも買って、これで勘弁してくださいとでも言えばいいのか?いや、だからと言って車やマンションと言われたらどうしよう…一瞬のうちに色々考えて頭を抱えた私の耳に飛び込んできたのは、想定の斜め上の言葉だった。
「…ありがとう、ございます…」
「………へ…?」
頭を抱えた手を離し、ポカンと彼女を見る。
「…とても…満たされた気分、です…彼が…結婚、したんです…」
あぁ、初めての彼とか言ってたヤツか…結婚した、てことは、二股を掛けられていて、振られた、ってことなのかな…
「…大学の、先輩で…相手のコも、知ってるコでした…結婚式の、招待状が届いたんですよ?…酷くないですか…?」
そりゃ酷いな。でも、例えば新婦側が及川に招待状を送りたい、と言ったとして、その男は何とも思わなかったのか?…いや、思ったことも言えなかったのか…下手なこと言えば藪蛇だもんな。招待状を見た及川のショックは察して余りあるが、今頃その男は欠席の返信を心待ちにしているだろうな…披露宴で妻と二股掛けた女とスリーショットだなんて地獄絵図でしかないだろう…
まぁ、それも自業自得ってモンなんだろうけど…
そうとしか言えなかった。だってホテルの一室で、裸の男女が同じベッドに寝てるんだぞ?安い映画の事後シーンしかありえないだろう…
「…ですよ、ね…」
誘ったのは君の方じゃないか、なんて、言っても仕方がない状況なことくらいは理解ってる。でもじゃあ何と言えばいい?
可愛いと思ったことは事実だが、だからといって責任を持って交際なんてできる立場でもない。そもそもそんなこと彼女が望む訳がない。素面になってそんなこと言えるとしたら、そりゃ相当な老けセンだろ…とそこまで考えて、自分で考えたことなのに若干凹む。
幾らか払うか何か望むものでも買って、これで勘弁してくださいとでも言えばいいのか?いや、だからと言って車やマンションと言われたらどうしよう…一瞬のうちに色々考えて頭を抱えた私の耳に飛び込んできたのは、想定の斜め上の言葉だった。
「…ありがとう、ございます…」
「………へ…?」
頭を抱えた手を離し、ポカンと彼女を見る。
「…とても…満たされた気分、です…彼が…結婚、したんです…」
あぁ、初めての彼とか言ってたヤツか…結婚した、てことは、二股を掛けられていて、振られた、ってことなのかな…
「…大学の、先輩で…相手のコも、知ってるコでした…結婚式の、招待状が届いたんですよ?…酷くないですか…?」
そりゃ酷いな。でも、例えば新婦側が及川に招待状を送りたい、と言ったとして、その男は何とも思わなかったのか?…いや、思ったことも言えなかったのか…下手なこと言えば藪蛇だもんな。招待状を見た及川のショックは察して余りあるが、今頃その男は欠席の返信を心待ちにしているだろうな…披露宴で妻と二股掛けた女とスリーショットだなんて地獄絵図でしかないだろう…
まぁ、それも自業自得ってモンなんだろうけど…