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第30章 幕間…SS集…⑤
「…胸に、ぽっかり穴が空いたみたいで…私、この3年何してたんだろうなって…なんで、そんな人好きになっちゃったんだろうな、って…考えても、答えが出なくて…」

話しながら思い出したようで、及川は涙ぐみ、肩を震わせる。
私は、所在無く、ぽりぽりと顎を掻いた。
はぁ…早く服を着たい…この期に及んでまだ2人とも裸で並んでいるのがこの上なく気まずい…

「…でも、今、すごく満たされた気がして…きっと、優しく愛して貰ったんだろうな、って…」

「………」

乱暴に、欲を満たしたつもりは…ないが…

「部長って…ご結婚、されてます、よね…やっぱり…」

「え?」

「大人だし…前に息子さんのお話されてるの、聞いたコトあるし…」

「……息子は、いるよ。でも、結婚は…今はしてない。…まぁ、その、バツイチ、というヤツ、かな…」

「独身なんですか⁉︎」

及川の顔がパッと明るくなる。

「…まぁ…妻がいれば、流石に、こんな事までは…しないよ…」

「よかった!」

「えっ⁉︎」

「じゃあ、私と付き合ってくれますか?」

「えっ‼︎⁉︎」

「良かったぁ…不倫は…奥さんに申し訳ないから、出来ないけど…お互いフリーなら、問題ないですよね!」

………私の気持ちは…?
問題視してくれないのか…?
いや…手を出した手前偉そうなことは言えないが…
責任持って付き合う?私と及川が…?
いや、まさかそんな…えぇ?

あまりの展開に起き抜けの頭がついていかない。
どう、返すのが正解なんだろう…
困った…

困った…!

困った……‼︎

ダレカ…タスケテ………

誰も助けてなんてくれない、なんてことはわかっていたが。
それでもそう思わずに居られなかった…






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