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第31章 吉田 理恵
しばらくすると圭吾くんが帰ってきた。
クッション素材のカマクラみたいなネコベッドやら猫じゃらし、数種類のオヤツにキャットフードもお試しなのか小さいのを何種類も。それと、バンダナがついた小さな首輪。
真っ黒な毛色に赤いギンガムチェックのバンダナを巻いてるみたいですごく可愛かった。

「…また買い込んだわねぇ…」

お母さんは呆れながら猫じゃらしを手に取り、先っぽを少しだけ揺らした。
フクちゃんは目を真ん丸にして、揺れる猫じゃらしに見入っている。
そのうち、顔まで猫じゃらしに合わせて動き出し、チャッと手を出した瞬間にお母さんが猫じゃらしを引いて、フクちゃんは空回りしてキョトンとした。
でもそれで、猫の狩猟本能に火がついたみたいで。
猫じゃらしに必死に食らいつくフクちゃんを、お母さんは巧みに弄ぶ。
最後に猫じゃらしをポン、と投げるとフクちゃんはそれを追いかけて行って飛びついた。
だけど、お母さんの手を離れた猫じゃらしはもう生き物みたいに動いてはなくて。
フクちゃんは不思議そうに猫じゃらしを咥えたまま考えているようだった。
そのあとふわふわの紐付きボールをポンポン弾ませるとまたフクちゃんはボールに飛びついてくる。
…お母さん…猫との遊び方心得てる…



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