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第32章 玄 徹匠 ートモダチー
髪を纏める為なのか、タオルで頭をガッチリ縛った眼鏡の男性。
頭のタオルが、料理をしてるというよりは、土木作業とか、現場の人っぽい…その人は私を見て、

「コンバンワ、翠ちゃん。」

と笑った。初対面の男性にいきなり名前でちゃん呼びされるとちょっと身構えてしまう。

「あれ? なんかカタマってる?おーい。」

私の目の前でひらひらと手を振る。

「トールさん。そりゃ今のカッコ流石にわかんないって。」

てっちゃんは苦笑しながらお皿を並べる。わかんないって何が?

「そっか…でもコレならわかるだろ?」

トールさん、と呼ばれた男性は、タオルを取った。
長い髪がパサッと散る。
髪は肩を覆うくらいの長さで、綺麗な栗色。
あれ?このヒト、何処かで見たことある…?
どこだろ…

人差し指を唇に当てたまま、首を傾げる私に、トールさんは、え〜、まだ分かんない?と声を裏返し、長い髪をぞんざいに手櫛で纏めて手首につけてあったヘアゴムで括った。長い前髪はゴムには収まらず、サラッと流れている。最後に眼鏡を外すと、

「もぉ。アタシのコト、忘れちゃヤァよ?ミドリちゃん♪」

パチンと音のしそうな見事なウィンク。

⁉︎

そのおネェ言葉!
もしかして?

「読モ企画の時の…ヘアメイクさん…?」




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