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第35章 新田 桜子
「…満希、それは何情報だ?」

誠治さんが目をぱちぱちさせながらつっこんだ。

「成人の日のテレビ中継。カメラに向かってバカ騒ぎしてる男子は大抵羽織袴だから。」

「…一理あるな…」

たしかに。

「でもなんで急にそんなこと…」

「だって!友達のリナちゃんのお姉ちゃんが、来年成人式で、振袖作るのに、呉服屋さんの展示会に行くんだって。リナちゃんも一緒に行くって言うの、楽しそうなんだもん!」

「…だからって今からそんなこと言わなくても…」

「だって着物って高いんでしょ?だったら急に言うより先に言っといた方がいいかなと思って。」

「気遣いどうもありがとう…」

誠治さんはげんなりした顔でお茶を飲んだ。

「成人式の着物なんて今日日レンタルが主流なんじゃないの?どこ行っても貸衣装で成人式とか看板出てんじゃん。そもそも着物なんか成人式の他に着る機会ってあんの?」

誠大は満希に負けたくないのか、口を挟んできた。
普段はそんなケンカしたりもしない兄妹だけど、できるだけ平等に、を心がけたせいか、お互い片方だけ贔屓されるのを嫌う。

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