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第36章 間宮 涼香
「…言うっていっても…何をどう説明すればいいのかわからないし…」

智之はまたこくりと頷いた。

「でも、その、今まで気になって、ていうか、好きになったのが男のコだった、ってことなのよね?え、待って、告白したりするの?もしかして彼氏がいる訳じゃないわよね?」

智之はぶんぶんとかぶりを振った。

「…誰にも言ってない…」

よかった…もう経験済みだったらどうしようかと思った…

私は、何と言ったらいいのかわからずに黙り込んだ。

小説を読んだ時には気持ち悪いと思ったのに。
智之に対してはそんな風には思えない。
もしかしたら、これが何の関係もない赤の他人だったら、私は気持ち悪いと感じたのかもしれない。自分の理解の範疇を超えることだから。
だけど、相手が智之だから。
気持ち悪いという言葉で切り捨てられるほど、弟に対して薄情にはなれなかった。
勿論一定数でそういう人が存在する以上、受け入れてくれる世界もあるんだろう。だけど、それは私がテレビの中を別世界だと感じているように、私たちのいるこの世界とは何処か別の場所の話のようで。
特にこんな狭い田舎町ではそんな寛容に受け入れられないだろうと思ったし、本当の自分を隠して仮面を被って生きるのも、公表して奇異の目に晒されるのも、どちらも辛いことなんじゃないかと感じたから…
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