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第36章 間宮 涼香
「お父さんにもお母さんにも言わない。それは約束する。」

「ホント?」

泣きそうな顔で私を見る智之が不憫で仕方がない。

私は大きく頷いた。

「このことは、姉ちゃんと智の秘密。」

「…ごめん…」

「何で謝るの…?」

「嘘とか秘密を守るのって、負担かな、と思って…」

「10代の頃は、親に隠しておきたいことのひとつやふたつあるものよ。でも、一人で背負い込むのが辛いことなら、誰かに相談するもの。いい?姉ちゃんは、智の味方だから。智が嫌がる事はしないって約束する。」

小さい頃から、優しい子だった。
今だって、デリカシーなく核心を突いてしまった私を責めるでもなじるでもなく、秘密を共有させてしまったことを申し訳なさそうにしている。それはこのコの根本的な優しさからくるものなんだろう。
その子が、きっと生きにくいであろうマイノリティーになってしまったのはショックだったけれど…
この子の幸せを、私くらいは願ってあげよう。
そう、思った…



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