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第36章 間宮 涼香
夜、一人で部屋で考えた。

智之が男のコが好きという話は、或いは一過性のものという可能性はないだろうか。
今、女性に興味がないだけで、この先出てくるとか…

でも、それは私の…秘密を知ってしまった身内の願望でしかないのかな。

もし、興味を持てないままだったとしたら…

家を継ぐのは難しいだろう。
後継ぎの問題がある。

ウチは代々蔵元杜氏、いわば、社長兼現場責任者、なのだけど。
父さんは、この先生き残っていくために、1人で背負い込むのは限界があると、分業体制を整えていきたいと言っていた。
私にはそのまま事務方をさせて、智之は地元の大学に行かせて経営を学ばせ、蔵元としてやっていって欲しいらしい。
そして、杜氏…技術的な事はゆくゆくは龍沢さんに期待を寄せている、ようなこともチラッと匂わせていた。
龍沢さんは国家資格の酒造技能士の資格を取るべく勉強していると聞いた。
酒造技能士の資格は、杜氏になるのに必須ではないらしいけど、国家資格だから、その技術が本物であるという証明にはなる。持っていて損な資格じゃない。



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