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第36章 間宮 涼香
龍沢さんのアパートは、二階建てのこぢんまりした建物。
集合ポストは10個あったから、各階に5部屋ずつあるみたいだ。

その二階に龍沢さんの部屋があった。
ドアを開けると六畳一間くらいの狭い部屋。

備え付けのテレビの前に、小さな座卓がある以外、何も見当たらない。
荷物は殆ど、押入れに収まってるんだろう。

「…狭いけどどうぞ。」

促されて上がる。
壁際に小さなキッチン。冷蔵庫もキッチンの隅に小型のが備え付けられてて、ホテルの部屋みたいだった。

「寝に帰るだけだから、何にもないんだよ」

そう言って笑う。

ベッドがないから、寝るときは布団を敷いてるんだろう。男の人なのに万年床とかじゃないんだ。

普段、それに座ってるのだろうお座布団を私に貸してくれて。

「座ってて。」

と押入れを開けて何かを探し出した。
すぐに小さな箱を出してきて。開けると絆創膏や傷薬なんかのちょっとした薬箱のようだった。

「几帳面…」

「そうかな。置く場所決めとかないと、欲しい時に出せないじゃない。それが嫌なだけ。」

すぐに虫刺されの薬を出してくれて。
指に取って腕につけてくれた。
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