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第37章 幕間…SS集… ⑥
「ひぇぇ…」

翠の箸から葛切りが滑り落ち、服に跳んだポン酢を慌ててティッシュで拭く。

「そこまで本格的じゃなくて良いから。ココにいる間とかに、チョチョイっとさ?翠の手持ちのカラー見て、もっとこんな色がいいよーってアドバイスとか。これをつけるならこんな感じで、ってコツみたいなん教えてくれるとか、そんなのでいいんだよ。ね?トモダチじゃん?」

「プロの手技は安売りしない、のがモットーなんだけどなぁ…」

眉間に皺を寄せ、眉尻をぎゅっと持ち上げながら、俺を睨む。

「タダでとは言わないよ?それ相応のお返しはしますって。」

それに対して翠がギョッとした顔で、ムリムリ、と顔を振る。
俺は気にせず続けた。

「トールさん、息子さん、今年3歳でしょ?七五三の写真撮らないの?俺がココで撮ってもいいよ? 写真館、行きにくいでしょ?ココなら気兼ねせずに撮れんじゃん、家族写真。」

トールさんは目を見開いて。

「…全く。玄クンには敵わないなぁ…俺のアキレス腱フツーに突いてくんだもん…そんなこと言われたら断れないデショ…」

「古いのでよければ、俺が子供の頃に着た着物と袴もあるよ?実家に。」

「…あ〜もぅ。わかったよ、教えるってば。」

トールさんは溜息をついて、翠ちゃん、交渉上手な彼氏がいて良かったね、と肩を竦めた。







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