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第37章 幕間…SS集… ⑥
手桶に汲んだ湯に顔を映す。

湯の中でゆらゆらと揺れて映る己の顔に、傷があったら…頭はどんなだっただろう…盗賊だったならば今の己のような町人の髷は結ってなかっただろうが…

考えてもわかるものでもなく、市八は風呂から上がり、長屋に帰った。

「ナァ、サヨ」

「ん、なぁに?」

「むかぁしよ、芝居の陽炎って観たよな…」

「どうしたの急に…」

「イヤ、店でそんな話してる奴がいてよ、そういや俺も行ったナァと思っただけなんだけど」

慌てて誤魔化す。

「うん、で?」

「頭の市九郎って…どんなんだったっけ?」

「…え? ちょっと待ってよ?」

サヨは行李の中から丸めた紙を取り出した。クルクルと開くと、それは役者絵。
市八が昔芝居の帰りにサヨに買ってやったモノだ。

「コレ。コレが市九郎だよ。新三郎、カッコいいよねぇ…ま、私は松屋 雪之丞のがいいんだけど…」

不敵な笑みを浮かべる二枚目役者の容貌は、右の頬に鉤裂きの傷、髪は後ろで束ねたザンバラ髪。己がその髪にしたところで似合うとは到底思えなかった。

「…どこがいいんだかサッパリ わかンねぇな…」

「何よ!自分から見せろって言っといて!」

「イヤこっちの話だよ…」

サヨを宥めるように肩を抱き、やっぱ芝居で充分だ、と呟いた。









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