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第38章 桜
春になり、吉原の町、仲ノ町(吉原のメインストリート)に桜の木が植えられる。

地に生えた桜が、春に花をつけるのではなく、花が咲いている時期だけ、他所から持って来て植えるのだ。
散り間際には見苦しいと根ごと引き抜いて消えてしまう。

桜はその日、菓子屋の若旦那を送り出し、まだ時間も早いからと張り見世に戻った。そのまま部屋で寝ても良かったが、何となく独りになりたくなかった。張り見世には、まだ客のつかない女郎が茶を引いている。喋り相手くらいにはなるだろう。

若旦那は、夜を明かさずに帰って来いと、ご内儀に釘を刺されたとかで、ご内儀に頭の上がらぬ婿養子ならば、いっそ家で大人しくしていればいいものを、ほんに男の中にはどうしようもない莫迦がいる。そんな一人だ。

性格はマメで、今日も店の菓子を携えてきてくれた。
季節柄、桜を模った綺麗な生菓子を頬張り、茶を呑んだ。
甘い。

何故だろう、甘いものは好きなはずなのに、美味しいとは言えない。
腹が減っているわけではないのに、無性に握り飯が食べたくなった。
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