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第39章 新田 誠治の憂鬱
昔、響子の妊娠が分かった時。

女の子がいいと言った俺に、響子はクスクス笑いながら、年頃になって邪険にされても娘がいいのかと聞いた。
臭いとかウザいとかいわれるんだよ?と言われ、言葉には詰まったが、その時はその時だろ、と思ってた。
そう言われないように気をつければいいんだと。

それが今や。
加齢臭対策の柿渋を使った石鹸とシャンプーも使ってるし、元々煙草は吸わんから口臭にも気をつけて歯医者の定期検診もちゃんと行ってる。勿論歯磨きもちゃんとしてるし。
これ以上ないってくらい気をつけてるよ!
なのに、コレ。病原菌扱い。

妊娠中に響子の乳がんがわかって、少しでも早く手術する為に、帝王切開で8ヶ月で生まれた満希はちっさくて、少しの間保育器に入ってたから、生まれてすぐはケース越しの対面で抱っこもできなかった。

元気に生きて生まれてくれただけで、もうそれだけで何も言うまい、と思ったあの時の気持ちすらちょっと薄れる破壊力。

娘の反抗期って、ツライ…




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