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第39章 新田 誠治の憂鬱
「だからね、もし、娘さんにその反抗期がなかったら、それはどういうことなのか、っていうのを考えるんですよ。」

「どういうコト、って…そりゃ平和だろうなぁ…」

ため息を吐いてビールを呷った俺に、宮本さんはニヤリと口角を吊り上げる。

「と、思うでしょう?でもね、反抗期がある、のが正常…ま、表現の仕方は個人差があるだろうから、当たり散らす事だけが正常とは言いませんがね。ヒトって、家庭とか、幼い頃から同じ共同体の中で生活する異性には、性的な魅力を感じないらしいんです。」

は?何急に…

「イヤ、俺娘にオトコとして見て欲しいなんて思ってないよ?」

「当たり前でしょ…思ってたら引きますよ…でも、そういう事なんです。刷り込みの一種らしいんですけど、家庭内って事は、まぁ、親ないし兄弟とか、血が濃く繋がってる可能性が高いでしょう。まぁ、再婚で出来た義理の関係はどうするんだとか言っちゃうと、そこはモラルの範疇になってくるんですけど…身体が成長すると、本能的に身近な異性を警戒して避けるようになる。そうする事で近親交配を避けるんだそうです。血が濃くなり過ぎると遺伝的に弱いとか、よく言うじゃないですか、昔の閉鎖的なムラ社会とかの話で…」

あぁ…何かで聞いたことある、ような気もする…
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