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第40章 芳川 翠ー挨拶ー
「皆に挨拶する為に連れてきたのは、近いうちに翠さんと結婚しようと思ってるからなんです。まだ式とか具体的な事は決めてないけど。」

お父様もお母様も、そうだろう、という感じで頷いてくれた。

「徹匠ももう29だしな。ちょうど良い頃合いじゃないのか?」

「翠さんのご両親には?」

「あ、それはまだなんだ。 彼女が先にウチに挨拶に来たいって言うから、来週か、まぁ先方の都合に合わせて今月中には」

「なに?先に此方へ?妻問いするなら先に女性のご家族に挨拶をするのが筋だろう。」

ツマドイ…妻、問い?…プロポーズってことかしら…

「い、いえ、ウチはもう…早く結婚と煩いくらいですんで、徹匠さんが来てくださるならいつでも…」

「ならいいが…」

「翠さんは、徹匠と結婚するにあたって、何かご心配なことはありませんか?」

お母様が優しく聞いてくださる。

「あ、あの、私は、ごく一般の、家庭で育ちましたので…お寺さんのこともよく存じてませんで…徹匠さんは、ここを継ぐわけではないから大丈夫と言ってくださったんですが…何か心得ておくことなどは、ありますでしょうか…?」

「別に…奥向きの事は基本的に貴和子と玲香さんが仕切ってくれるので…まぁ親戚の集まりくらいには出席してくれれば…徹匠には偶に僧としての仕事を手伝って貰うこともあるが…奥さんになる人に寺の何かを心得て貰う必要は特にないですよ。まぁ、この先、どうしても徹匠に住職を務めて欲しいと頼むことがあって、徹匠がそれを飲むならば、そんな可能性もないではないが…永匠夫婦が居る以上、それは考えなくてもいいほど低い可能性だから。」


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