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第40章 芳川 翠ー挨拶ー

「芳川さん、やったよね。俺のこと、何モンや⁉︎と思てるでしょ。」
「えっ⁉︎」
「そんな驚かんでええよ。貴女の顔、面白いくらいに疑問符が貼り着いとったもん。俺はね、先代の不肖の息子。家出たこの寺の元長男ですわ。」
「あ!」
お父様より歳上っぽく見えた風貌も、名前の関連性も、そのひと言で合点がいった。
「じゃあ、お父様は…」
「あの人は、俺が寺継がん!て言うて家飛び出したから、亡くなった先代が本山から連れてきた跡継ぎ。つまり婿養子やね。この家は、男の子が生まれたらそのまま僧侶名に使えそうな名前つける習わしがあって、匠の字を受け継いどるけど、あの人は本名孝徳(たかのり)さん言うのよ。だからコウトクさん。もう、その名前で僧侶として登録したったからね。この寺に入る上で改名はしはらへんかった。ホントは貴和子も家出て他所に嫁に行くつもりでおって、俺が寺継がんて言うたら卑怯モンやなんやのと散々言うたモンやったけど。」
ははは、と軽く笑いながらおじさんの話は続いた。
「えっ⁉︎」
「そんな驚かんでええよ。貴女の顔、面白いくらいに疑問符が貼り着いとったもん。俺はね、先代の不肖の息子。家出たこの寺の元長男ですわ。」
「あ!」
お父様より歳上っぽく見えた風貌も、名前の関連性も、そのひと言で合点がいった。
「じゃあ、お父様は…」
「あの人は、俺が寺継がん!て言うて家飛び出したから、亡くなった先代が本山から連れてきた跡継ぎ。つまり婿養子やね。この家は、男の子が生まれたらそのまま僧侶名に使えそうな名前つける習わしがあって、匠の字を受け継いどるけど、あの人は本名孝徳(たかのり)さん言うのよ。だからコウトクさん。もう、その名前で僧侶として登録したったからね。この寺に入る上で改名はしはらへんかった。ホントは貴和子も家出て他所に嫁に行くつもりでおって、俺が寺継がんて言うたら卑怯モンやなんやのと散々言うたモンやったけど。」
ははは、と軽く笑いながらおじさんの話は続いた。

