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第40章 芳川 翠ー挨拶ー
「徹ちゃんも、寺に生まれて、窮屈なとこあって、まぁ学生時代はおよそ寺の息子と思われんようなカッコでブイブイ言わせてたりしたんやろうけど」
「イヤ、別にブイブイとかしてないから!」
「何言うてんの、あんなカッコしとってからに。いっつも軽そーなスカートからパンツ見えとるような娘に囲まれとったやないの。」
「違ッ!アレは、勝手に付き纏われてただけ!俺の意思じゃない!」
「おーおー。ちゃんと前見て運転してやぁ?あっぶないなー」
「なんッ!」
一瞬怒って後ろを向きかけたてっちゃんに、尚も軽く畳み掛けるおじさん…私は2人の間でハラハラした。
「ま、冗談はこのくらいにして。俺もね、寺の跡継ぎっていう立場が重荷でしょうがなかった。元々絵描くのが好きでね。絵描きになりとうて。自分の夢と現実の立場の間で板挟みになって。鬱みたいな症状が出て、先代に、己の心と向き合えぬ者に僧侶は務まらん、て破門されたのよ。だから、俺は僧籍も持ってない。先代は、父親として、長男を跡継ぎに育てたかったけど、住職として、その器のない者を跡継ぎにする事は出来ん、というてね。ま、そんなワケで。俺は家出て、今は、ま、絵描きで食うて行ける程の才能もなく。京都の高校で美術教師なんぞしとるんですわ。」
「イヤ、別にブイブイとかしてないから!」
「何言うてんの、あんなカッコしとってからに。いっつも軽そーなスカートからパンツ見えとるような娘に囲まれとったやないの。」
「違ッ!アレは、勝手に付き纏われてただけ!俺の意思じゃない!」
「おーおー。ちゃんと前見て運転してやぁ?あっぶないなー」
「なんッ!」
一瞬怒って後ろを向きかけたてっちゃんに、尚も軽く畳み掛けるおじさん…私は2人の間でハラハラした。
「ま、冗談はこのくらいにして。俺もね、寺の跡継ぎっていう立場が重荷でしょうがなかった。元々絵描くのが好きでね。絵描きになりとうて。自分の夢と現実の立場の間で板挟みになって。鬱みたいな症状が出て、先代に、己の心と向き合えぬ者に僧侶は務まらん、て破門されたのよ。だから、俺は僧籍も持ってない。先代は、父親として、長男を跡継ぎに育てたかったけど、住職として、その器のない者を跡継ぎにする事は出来ん、というてね。ま、そんなワケで。俺は家出て、今は、ま、絵描きで食うて行ける程の才能もなく。京都の高校で美術教師なんぞしとるんですわ。」