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第5章 井上 翔太
だけど、彼女の売り上げがいいのは同行営業してすぐ納得がいった。小鳥遊さんは、とにかくよく喋る。サバサバした話し方で、雑談を交えながら、客先のニーズを上手に引き出す。

仕入業者にも、一切上から出ることなく、下手に出てお願いする形で、こちらの要求をきっちり通す。

時にはセクハラ紛いや、完全アウトな発言も気にせず、カラカラっと笑って、

「それ、今の若いコに言うたらセクハラで訴えられますよぉ〜⁉︎」

とサラっとかわす。

いや、30代女性に対しても十分失礼だろ。と心の中で何度つっこんだことか。

車に戻り、

「よく、我慢できますね。」

と正直な感想を漏らした俺に、小鳥遊さんは首を傾げてくりくりした目を更に丸くした。

「あぁ、あの社長は毎回あんな感じ。あんなん日常茶飯事や。あの程度でいちいち怯んどったら仕事にならへんよ。大阪の販路は小口と違うからあんなヒト居らへんのかな?」

「そう、なんですか?俺1人でやってけるかなぁ」

俺は、元々関西出身じゃないから、大阪のノリも実は馴染み難かったんだけど。
神戸の販路は小口で、現場のヒトと密に関わる感じだから、ちょっと不安になった。

神戸ってもっと洗練されたイメージだったのに…
まぁ、担当者が純粋な神戸っ子ばっかりとも限らないし、古い街だからそりゃ下町もあるだろう。お洒落なトコだけじゃあ、ないんだな…
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