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第5章 井上 翔太
焦った俺は、携帯を取り出し、検索をした。

徘徊しながら、少し会社から離れていたから、目的の場所は意外と近そうだった。

タクシーを拾うほどでもない、かな。

携帯の地図を頼りに、小鳥遊さんの手を引いて歩く。

そのまま5分ほど 歩いたところで、目的の場所が見えて来た。
と、小鳥遊さんがピタリと止まった。

「ちょっと待って。
―――ホテル行こうとしてへん?」

バレた。そりゃまぁ、彼女の方が土地勘があるんだから、バレないわけないと思ったけど。

てか着いたら嫌でもバレるんだけど。

俺の貧弱な想像力ではココが精一杯、だったんだ。

そりゃ、話を聞くために個室に入りたいだけなんだから、同じ入るならシティホテルのがいいに決まってるけど、
今日みたいな日に予約なしで泊まれるとこなんかないだろうし。

俺の家ってのも違うし。
第一散らかっててとても女性をあげられる状態じゃない。

招待されたわけでもない女性の家に上がり込む気も毛頭ないから彼女の家も、ない。

となると、こんなトコしか思い浮かばなかった。

「スミマセン。でも、 ココなら、思い切り泣いても、外に声、漏れませんし。俺、誰にも言いませんし。朝まで付き合いますから。
思いっきり、泣いていいですよ」
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