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第5章 井上 翔太

「奥さん、お腹大きいやろ？」

そう言われると確かに、写真でもわかる程度に、女性のお腹がふっくらしていて、ゆったりしたワンピースを着ている。

「結局、離婚してるなんて、嘘やってん。奥さんとはフツーに、子供ができる程度には夫婦生活があって。私とは遊びやったってこと。」

俺は奥歯を噛み締めた。
なんて、居た堪れない話だろう。

あれ、でも？

「あ、あの、ホントに離婚してて、奥さんが再婚して、妊娠してる可能性は？」

「法的には、女性は離婚後半年以上たたんと再婚できひんでしょ。
私と知り合うちょっと前に別れたっていうてて、私と付き合って１年で、奥さんの、妊娠月齢がこのお腹やと、多分6〜7ヶ月ってとこやと思うから、物理的に計算が合わん。
それに、もし仮に奥さんも浮気してたとか、お腹の子の父親が彼じゃないんやとしたら、離婚でローンがっつり残った家とられたりせんと思う。離婚後に奥さんに恋人ができて妊娠してるなら、2人ともこんな自然な笑顔で歩けるかなぁ。私はムリやわ。
井上くんはオトコとしてどう思う？別の男の子供を身ごもった元奥さんを、こんな優しい目で、見れる？」

そこで俺に振る⁉︎

「どう、かなぁ。カナリ難しいとは、思います。ただ、経験がないので、何とも…」

それ以外どう答えろってんだ。