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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
「何で中央に固まってるんだろね。」

「熱くなって逃げるんじゃないですか?」

「池が熱くなったら堪らないよな。」

「踊り食いも可哀想だけど、これも可哀想ですね。」

ちょっと悲しくなったけど、美味しいものは美味しい。

「シラスになってる。」

「皆、中央に向かって泳いでたんですね。」

「ルリは、こんな目にあったら、どう思う?」

「え?」

「俺は子供の時から知らないうちに居たんだ。
自分が普通の家に生まれてないと気付いたら、
あっという間に蒸されてさ。

もがいても抜け出せなくて…

おやっさんにひょいと救い出してもらえたけどね。

ルリはどう思う?」

「もし、逃れられない運命なら、いっそ騙されてると気づかないうちに蒸し上げて欲しいですね。」

「知らないままでいいの?」

「もがいてどうにかなる運命なら知る価値はあるけど、そうでないなら知らないで幸せなままがいいです。」

「そうか、じゃあ俺に喰われて?」

ハルトがお膳をどけてグッと近づいてきた。

「しょ、食器、廊下に下げますね。」

「早く、もう逃げれないんだから、諦めて…」

フッとハルトが笑う。
もちろん逃げるつもりはない。


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