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***堕散る(おちる)***
第25章 step25 十九段目…卵
「寝ないで卵の番をしようと思ったけど、寝ぼけて潰してしまうのも心配でカイロが役立ったよ。
朝もちゃんと温かいままだった。

そしてこれがあるから、もう大丈夫。」

机に乗っているのは保温器のような箱。

だけど、そこには入れずにハルトは手で包んでいる。

「使わないんですか?」

「雌鳥が体を張って温めているんだ。すべて機械任せじゃ、卵が可哀想だろう?」

「は、はい。」

「触ってみて?」

ハルトに手渡された卵に『上』と書かれていた。

「温かいです。最初と同じ温かさです。何で上って書いてるんですか?」

「そっちが上だから…
勝手にひっくり返されたら卵もびっくりするだろう。」

「あ、あは…そうですね。」



ハルトの気合いの入れようにちょっと驚いた。

とりあえず制服に着替えて宿題に取り掛かる。

ハルトは卵を温めながらモニターを見ていた。

「ハルト、珈琲淹れますね。」

「ああ…」

母との話がしたくて宿題を終えて珈琲タイムにする。

コポッ…コポッ…

ハルトの好きな音と香りがし始める。

ハルトはモニターを見て、卵を撫でるように温めていた。

「珈琲入りましたよ。」

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