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***堕散る(おちる)***
第27章 step27 二十一段目…初夏
「あの人に仕事を紹介されたの?」
「うん…」
「ずいぶん若い人ね、もっとおじさん、いや管理職っぽい人がくるかと思ったのに…イケメンさんじゃない。」
「お母さん…」
母はこそこそ耳打ちしてくる。
ハルトからも見えて感じ悪いだろうと母をたしなめた。
下ごしらえを済ませてあり、最後の仕上げをして料理をテーブルに並べていく。
ハルトは興味津々で料理を眺めていた。
「ワインを召し上がられますか?」
「ええ、まあ…でもお気遣いなく。」
「でもせっかくだし、私も普段は家で飲まないので…」
母がワインオープナーに苦戦していると、
「私が開けましょうか?」
ハルトが代わってあける。
「あらやだ、お客様に先に注がせちゃって…」
母はそう言いながらもグラスを差し出した。
料理はワタシの好物のミルフィーユチーズカツだった。
真ん中にチーズを入れて、豚の薄切りとスライスチーズを交互に巻いたもの…
母が特別な時に作ってくれる料理だ。
ハルトはナイフで切った断面をしげしげと見ていた。
「手の込んだ料理ですね。これ、ルリ、いやルリさんは作れますか?」
「手伝ってるから作れると思いますが…」