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***堕散る(おちる)***
第28章 step28 二十二段目…夏休み…入社試験
「ハルトは…ハルトはどこ?」
「ハルトって誰?」
「あなたたちは誰?天使?」
「うふふっ…天使は君だよ。」
さっきとは違う天使もワタシを天使と言う。
白い衣、シルクの布をすっぽり被り、腰を紐で縛っていればギリシャ神話に出てきそうな。金髪に青い目の天使。
でも腰で縛ってはおらず、シーツの真ん中をくりぬいたものを被っているようで、布をひらひらさせて歩いている。
同じ顔の男の人がたぶん3人…
いや3人に見えるだけで1人なのかもしれない。
ああっ…んはあぁ…苦しい…助けて…
「お兄ちゃん、この子綺麗だね。お人形さんみたい。」
1人がワタシの髪を掬ってさらさらと落としていく。
「僕たちと同じお人形なんじゃない?」
「そうだよ。扉が開く部屋のものは、好きに遊んでいいって、」
「僕たちが遊んでいいお人形なんじゃない?」
ワタシが訳がわからなくなっているからか、彼らが可笑しなことを言っているのか、もうはっきりしなかった。
「ハルトはどこ?」
「ハルトって人?
ハルトなんて人はここにはいないよ?」
連れてこられたのは会社じゃなかったの?
ハルトを知らないって、ハルトはいないの?