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***堕散る(おちる)***
第29章 step29 二十三段目…再びの秋…実りのとき
ハルトも彼氏さんも家まで送ると言ってくれたけど、大丈夫と母が断り、二人で家に帰る。
母は、帰り道に馴れ初めを話してくれた。
それは、母視点の彼氏さんの行動や印象で、頼れる上司から始まり、彼氏さんからすぐにアプローチがあったものの、頑なに拒み、
それを長い年月をかけて口説き落とされた。というものだった。
母は父と別れてから、男性自体を信用せず毛嫌いしてきた。
仕事の関わりから、少しずつ彼氏さんのひととなりを知っていったという。
それでも、そこまで止まりの母に、揺るぎない思いを伝え続ける彼氏さんに、少しずつ心を開いていったという。
もう誰にも頼りたくないと頑なに閉ざした心を、彼氏さんが、もう一度共に生きたいと思うところまで開いていったと…
「あの人に根負けしたのね。」
そう言う母の顔は照れて赤くなっていたが、はにかんで嬉しそうだった。
ハルトとワタシは性急に求めあい繋がった。
でも、形は違っても互いを欲し必要としている。
何があっても離れないという想いに嘘はない。
そう思っていた。