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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
前菜のお皿に、蒲鉾のような練り物があり、そこに黒い粒々の魚卵らしきものが乗っている。
王様がそれをさして何だかわかるか尋ねてきた。
「わかりません。」
どこかで食べたけど名前は思い出せなかった。
「キャビアだよ。これで君は三大珍味を制覇したね。」
「は、はい。この下にあるのはなんですか?」
「海老とホタテのテリーヌだ。」
蒲鉾のようなものはテリーヌという名前だと知った。
「このキャビアの周りにある金色のひらひらしてるものは、食べられるんですか?」
「ああ、金箔だよ。金を薄く伸ばしたものだ。
体にいいらしいぞ。」
「金を食べるんですか…」
「そうだ。無味無臭だから、見た目の高級感の為に飾られているようなものだが、体に取り込むといいらしいぞ。」
「はあ、贅沢すぎて驚きです。」
「毎日シェフが飽きないように工夫してるんだ。楽しんで食べよう。」
王様の暮らしは贅沢で不思議なことばかりだった。
食後はまた写真や絵ばかりの本を見て、王様はソファーの隣に座ってビジネスの本を読んでいた。
コンコン…
「失礼します。お掃除に参りました。」
「入れ。
ん…見かけない顔だな。」