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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事

早速庭に出る。
馬場の向こう側にアーチェリー場があった。
ゴーグルを着けて、道具の説明を受ける。
王様が見本を見せてくれた。
何メートルも先の的に矢が刺さる。
放つ度に中心に寄っていき、とうとう赤い円に刺さった。
「まずは引くだけをやってみよう。矢を離すなよ。」
弦を引くだけにかなりの力がいる。
矢を離さないように持っているだけで腕がぷるぷるした。
「離してしまいそうだな。」
王様が矢先の丸まったものに変えてくれた。
「離してみていいぞ。どこに飛ぶか見てみろ。」
王様が言うところまで引けずに、引いた姿勢も保てずに、手を離してしまった。
あははっ…
王様は豪快に笑ったけど、矢は、飛ぶというよりは落ちるような感じで、しかも方向も凄く曲がっていた。
「もう一度構えてみろ。」
次の矢を渡された。
弦に当てて手を引くと、王様が背中側に立って矢を引く肘と弓を持つ手首を掴んで、ギュッと力強く引いた。
「力を入れて真っ直ぐ一気に引くんだ。ここまで引いたら、少しは保っていられるだろう。」
確かに引ききってしまえばぷるぷるはしなかった。

