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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事

王様が先に降りて手綱を持つ。
手を拡げて呼ばれることがないので、自分で降りるのだとわかった。
足掛けと鞍のバーを握り、足を回す。足掛けに両足を揃えてゆっくりと降りた。
「1人で乗り降りできるようになったな。」
王様に誉められて嬉しい反面、王様の胸に飛び込むことが出来なくなったことを寂しく思うワタシがいた。
「さて、少し散歩しようか。」
王様の手に手を重ねた。
庭の方に向かうと思っていたのに、アーチェリー場の方へ向かう。
今日はもう終わりのはずだったけど…
アーチェリー場も通りすぎて王様が進む。
行く先に、庭師や従事員の人だかりが出来ていた。
そしてすぐ前を急ぐ男性もいた。
何を見ているのだろう。
「盛況なようだな。」
先を歩く男性に王様が声をかける。
「あ、旦那さま…」
男性は慌てて足を止めて会釈する。
「俺が許可しているんだ。遠慮なく行け。」
男性はもう一度会釈をして小走りでいってしまった。
建物の一部がガラス張りになっていて、そこに人だかりが出来ているようだ。
「上手くいっているか?」
王様の掛け声に一斉に皆が振り向き会釈する。

