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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
王様がワタシを剥がして立ち上がりチェーンを引っ張る。
ワタシはテーブルの横の床に止められた。
執事長が王様の椅子を引いて待っていたが、
「餌は俺がやる。」
ワタシの席にあったドームの蓋を開けて、それを床に置いた。
銀の縁が立ち上がった大皿とスープボウルのような銀のお椀が床に置かれる。
ワタシの料理はワンプレートに盛り付けられ、お椀にはスープが入っていた。
王様が席に着く。
「今日からまた給仕を頼む。さてユキ、食べようか、いただきます。」
つい、『いただきます。』と言いそうになったが、言葉を発してはいけない約束を思いだし、ワンと答えた。
「あらまぁ、お行儀のよいワンちゃんですこと。」
婦長がコロコロと笑う。
チューリップを見たときの微笑みとは違い、楽しそうに声を出して笑うのを初めて見て驚いた。
この女性(ひと)は、この状況を面白がっている…
今まで客人として迎えてくれていた従者すべてが、これからはワタシをペットとして扱うのだ。
恐ろしくなった。
お料理は、ベーコンエッグとサラダとトースト、それにコーンスープだった。
トーストにはもうジャムが塗られていた。