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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
もちろんカトラリーは置かれていない。
お椀を持ってスープを飲もうとした。
「犬は手を使わないだろう。」
王様は、すぐ脇で食事するワタシの様子を見下ろしていた。
ワタシはお椀を床に戻し、手を付いて顔を近付ける。
舌を伸ばしてスープをピチャピチャと舐めるしかなかった。
机下で見下されて、手も使えず食事する。
とても屈辱的だった。
トーストもお皿に置いたままかじり、ベーコンもかじる。トマトや目玉焼きは口の周りを汚して食べるしかなかった。
食欲が失せるような屈辱だったけど、残したら悪い。それにいつ食べられなくなるかもしれない。
不安になり、無理矢理でも食べていった。
王様はナイフとフォークを使い上品に食べながら、ワタシの様子を見ていた。
「よし、全部食べたな。偉いぞ。」
王様が椅子から降りて屈み、頭を撫でてくる。そしてテーブルからおしぼりをとってワタシのベタベタの顔を拭いた。
「美味しかったか?」
ワン…
王様は嬉しそうに微笑み、もう一度頭を撫でられる。
犬らしくしていれば優しくしてもらえる。
ワタシは学んだ。