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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
手を使わずにお皿に顔を着けて食べていく。
スープも舌で舐め、冷めたら口を着けて飲む。
執事は順々にお皿を出したり給仕することがあるけれど、メイドには仕事がない。
王様とは反対側のワタシの横に立っていたけど、明らかにワタシの食事の様子を覗いてる気配がした。
「お前には、もう仕事がないだろう。下がれ。」
「っは、はい、失礼しました。」
王様がメイドを下げた。
不躾な視線から逃してくれたのか、単に暇だろうと下げたのか…
無用に晒し者にするつもりはないようだった。
「次からは、食事の給仕のメイドは婦長だけにさせて、皿を出したらすぐに退室するよう伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
この執事は若いけど、職務に専念しているようで、ワタシには見向きもせず無反応だった。
おかげで、みっともない食べ方だけど、気にせず食事することができた。
「ご馳走さまでした。」
ワン…
「よし、ユキもちゃんと食べたな。前にも話したが、これ以上痩せたら抱き心地が悪くなるからな。
残さず食べるんだ。」
王様がワタシの顔を拭いながら言い、またお皿を拭いて水を注ぐ。
ワタシはそれも全部飲んだ。