この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
王様がワタシに犬扱いするのは、犬をペットに飼いたかったからだと思っていた。
そして犬らしくしていれば、優しくて、それ以外は以前のままで、辛いし恥ずかしいけど、何とか堪えて契約期間が終わったら、ハルトのところに帰れると思っていた。
「さて、ユキ、食後は何して遊ぼうか…
本でも見るか。」
ワン…
乗馬もアーチェリーもビリヤードも、犬のままでは出来ない。
王様は退屈しのぎの遊び相手を失ってしまったのだと初めて気づいた。
それでも王様は約束を変えない。ワタシはずっと犬でいなければならないのだ。
王様が本を選んでソファーに座る。
どうしたものかと思ったら、ソファーに『伏せ』のポーズで蹲り、王様の太ももに頭を乗せるよう促された。
言われた姿勢を取ると王様に頭を撫でられる。
反発する気も削がれ、頭を撫でられるのが嬉しいとしつけられ調教されていることにも気付かなかった。
王様が一人で本を持って開く。動物の写真集だった。
犬や猫は数種類のページがあり、動物園でしか見ないような動物、もっと珍しい動物等の写真集だ。