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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
先に案内され、後から女が酒のセットを持って入ってきて、あからさまに内鍵を掛けた。
「いつものバーボンでいいかしら。」
「ああ…」
手際よく酒を作り、スッとグラスを差し出された。
「正社員の派遣に乾杯。」
カチン…
「お前、どうしてそれを…」
「あら、そのことが、話の本題でなくて?」
「いや…」
「ヤスジが自分の店に戻る前にここに寄って、さんざん話して帰っていったわ。
役員研修の最終日に…」
ヤスジとは、ショーパブの隠れ雇われオーナー、サナエのショーなどをする店の表向きバーテンダーだ。
あいつ…
「さんざんって何を?」
「あなたの本物の女に役員研修を施すなんて、今までで一番やりづらかったって…」
「本物の女ってなんだよ。
いつもと変わらぬ一本釣りだが?」
「知らぬは当人だけ…か…」
女が呆れた笑みを溢す。
「三つ子以外の役員の、色々な思惑が錯綜する中で、それ以上にあなたに気を遣って、胃に穴が開きそうだったって、ぼやいてたわよ。」
「あいつ…
お前、ヤスジと出来てるのか?」