この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
俺は部屋で仕事を始める。
ユキは扉の側にいるようで物音もせず、静かに待っているようだった。
そのうち扉がカリカリと鳴る。
犬猫がするように扉を掻いているようだ。
トイレに行きたいのだろう。
犬らしくて可愛いと思ったが、罰を辞めるつもりはない。
扉のところまで行って様子を窺うと、しばらくそうしていたが、諦めて廊下をうろつき始めたようだ。
オシッコしたい。
でもワタシのトイレがない。
王様は今日もワタシを怒る。トイレ…
『どこででもシーシーと言ってすればいいんですよ。』
あの人のところに行けばいいんだ。
『何か困ったことがあったら…』
そんなことはないって王様言ってたはずなんだけどな…
どうしてこうなったんだろう。
だんだん、何が起こるかわからない恐怖と、考えることが無意味で怠くなって、わからないこと、思い出せないことが増えてきた。
犬なんだから仕方ないか…
確か、あの人がいると言われた部屋に行き、扉を引っ掻いた。
「はい、ああ、ユキ様でしたか…」
良かった、あの人がいた。
「どうしました?ユキ様、オシッコですか?」
シャアアアアア…