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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる
今日は庭で過ごすように言われる。
このところ、王様はワタシを試しては罰せられる。
もしかしたら、今日も?
ワタシは庭で静かに過ごしていた。
今日は誰もワタシを構わない。やはり何か試しているのだろうか。
わからないので毛布に潜り込み寝てしまった。
……いい匂い…ご飯だ。
目覚めるといつものワタシのお皿が置かれていた。
食べなきゃ。
口に填められていたものも外されている。
お腹が空いたからもあるけど、いつ、罰で食事を抜かれるかわからないから食べる。
美味しい…
だからもっと食べる。
食べ終えて気づく。
今日は水を注いでくれる王様がいない。
喉が渇いた。
お皿を下げに来た人が、丸い玉をワタシの口に入れる。
喉が渇いた。
唸ったり吠えたりしたけど水が欲しいということは伝わらず、その人は去っていった。
喉が渇いた。
動き回ると余計に渇くので、毛布に潜って踞っていた。
「おや、お客人は今日は庭で過ごすんだな。」
声がする方を見ると、腰の曲がった老人がいた。
「旦那さまに捨てられたのか…」
老人が恐ろしいことを言う。ワタシは一気に不安になった。