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第32章 step32 二十六段目 Ｂ２階 犬になる

｢ユキ様が元気になられた。｣

庭に出ると庭師たちが口々に喜びを露にする。
ユキは声のする方を見るがきょとんとしていた。

そして、宇兵衛との記憶があるのかわからないが、俺にぴったりとついて這っていた。

鋏を借りて温室に向かう。

｢今日はどれにするんだ？｣

ユキに聞けば、拳で新しい花を示す。
やはりまだ意志は持っているのだとわかる。

残念だ。
やはり最後の調教はしないとならないらしい。

言葉を忘れたユキが意志を発することはなく、俺の問いかけに鳴くだけになっていたが、まだ意志はあるのだ。

示された花を切り、鋏を借りた庭師にガラス扉のメイドに渡すように託し、ユキを連れて馬場に向かう。

ユキが熱の間、乗っていなかったから、スノーもチョコレートも興奮して待っていた。

｢ユキはここで待つんだよ。｣

馬場にあるチェーンでチョコレートと並ばせて柵に繋ぐ。

チョコレートはユキに凄く興味を持っていた。

｢スノー、いくぞっ｣

気性の荒いスノーは久しぶりに俺を乗せて、勇んで広い馬場に向かう。
俺もいきなりｷﾞｬﾛｯﾌﾟを命じた。