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***堕散る(おちる)***
第33章 step33 二十七段目 B3階 犬になって
今は『待て』をしつけているところだ。
「旦那さま、どうぞ。」
「いただきます。」
ユキは俺のこの言葉をしっかり聞いて待っている。
挨拶が済むとフードカバーが外されるからだ。
「よし、ユキも食べていいぞ。」
ユキは俺の顔を見てから皿に顔をつける。
そして嬉しそうに皿のご飯にがっつくのだ。
ピルは砕いてご飯に混ぜて食べさせている。
錠剤を避けて食べるようになり、鼻を摘まんで飲ませるにも嫌がって手こずるようになったからだ。
「ご馳走さま。」
ユキはまたじっと俺を見ている。
チョコレートやグミ、クッキーなどがご褒美でもらえるのを待っているのだ。
今日は一口サイズのゼリー。手のひらに乗せてテーブルの下に手を伸ばすと、手のひらに口をつけて食べる。
ペットがご褒美にありつけたように、手のひらからゼリーを食べて、頬や肩を俺の腕に擦り付けて礼を示す。
可愛らしいユキを撫でると、余計に喜んで体を擦り付けてきた。
タオルで顔を拭ってやると、脱衣場に行って用を足す。
廊下や庭で催すと面倒になることを体が覚えて、食後に自分から用を足して済ませておくようになっていた。