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***堕散る(おちる)***
第33章 step33 二十七段目 B3階 犬になって
「ユキ、俺は乗馬にいくが、お前はどうする?」
ウゥ〜
ユキはあの日以来、馬場には近づかなくなった。
「庭で庭師たちに遊んでもらうか?」
ワン…
「部屋に戻りたくなったら、先に帰っててもいいぞ?」
ワン…
「ユキと遊んでやってくれ。」
庭師たちに声をかければ、皆、待ち構えていたようで道具を放り投げてやってきた。
俺はユキを置いて馬場に向かい、スノーとチョコレートが満足するまで乗り換えて駆け巡った。
「スノー、ついてこい。一緒にジャンプだ。」
ブフルルル…
『風になれた。』と一緒に喜ぶ女はもういない。
馬嫌いなユキというペットが完成しただけだ。
2頭にブラッシングをして庭に戻るとユキは居なかった。
「ユキはどうした?」
「お腹が空いたんじゃないでしょうか。
今日は3人だけ相手にして、お屋敷に先に戻られました。」
庭師の報告を受けて屋敷に戻った。
俺が居ないと部屋には戻れないという認識はあるらしく、先に戻った時は大抵部屋の前で踞って待っているが、今日は廊下には居なかった。
そして、庭師が言うようになにやら調理室が賑わしかった。