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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日
ウウウッ…ウウ…ウウ…
それに向かって唸り声をあげ、俺を呼んで足にすり寄ってきた。
「怖くないよ、お前に話があるらしいよ。」
震えるユキの背中を撫でて落ち着かせる。
『どうしたんだ。』
アイツの慌てた顔が見たい。
「お前の声を聞いて怯えてしまったよ。」
『何をしたんだ。』
「何も契約には反していない。全く傷はつけていないよ。いたって元気だし、むしろ健康的で魅力的な体つきになったぞ?」
『もう一度話させてくれ。』
アイツが下手にでることなどないので、それだけでも気分が良かった。
「話があるんだそうだ、聞いてやってくれ。」
ユキの頭を撫でながら携帯を近づける。
『俺が誰かわからないのか?』
ゥー、ワン、ワン…
『何があっても俺のところに帰ってくればいい…
そう話しただろう?』
ウウッ…
『忘れちまったのか?
俺のオンナ、俺のモノ、
俺もお前のモノだろう…』
ウウッ…
ユキは震えながら何か考えているようだった。
「どうだ?諦めがついたか?3週間ですっかり忘れてしまったようだな。」
ウウっ…ウウ…
ユキが俺を呼び、携帯を持つ手を引っ張る。
ア…アア…