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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日
「今日はステーキにフォアグラ、トリュフ、キャビアと朝から豪勢だぞ。
シェフがユキの為に腕によりをかけたらしい。」
きょとんとして俺を見上げたが、話し終わると食事に戻る。
今日も残さず完食して、皿を拭いて水を飲ませた。
残念ながら今日のライスにも砕いたピルは入っていたんだがな…
食後もいつも通り温室にいき、チューリップを切って戻ってくる。
ユキは温室にいる間、花を押して『サ…サ…』と蝶を探していた。
「毎日いるわけじゃないんだよ。」
小首をかしげて聞いていたが、温室を出るまで花を押して探していた。
「今日はユキがよく見えるようにここに飾るぞ。」
応接セットのローテーブルに活けるとテーブルの周りをぐるぐる回って眺めていた。
ピー…ピー…ピー…
ユキは初めて聞く音に警戒する。
門扉が開いた合図だった。
アイツが来たんだろう。
玄関の扉が開く時に鳴る音がして、俺は部屋を出る。
ユキも当たり前についてきた。
ユキの首輪はつけたままにしてあった。
そして『ユキ』の名前は封印する。
これで洗脳を封印し、勝手に進行したり解けたりしないようにするのだ。