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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日
ワン…
ルリは嬉しそうに吠えた。
ベーコンエッグの半熟の黄身が口の周りにベッタリついていたが、後で拭いてやればいいことだ。
茶碗とお椀は口をつけられないのでスープ皿に移し代えると喜んでそれも食べた。
食べさせてもらえない日でもあったのだろうか…
すごい勢いで平らげた。
「ごちそうさまでした。」
ワン…
ぴよちゃんが鳴くのと同じだ。声に反応して鳴いているだけで、意味はわかっていなさそうだ。
「ルリ、ぴよちゃんの卵、美味しかったか?」
……ワン…
「ぴよちゃんに聞かせてやってよ。美味しいって…」
ウゥ…ワン…
「お・い・し・い」
お…ぅ…し…ぃ…
「そうだよ、ぴよちゃんに言ってやって?」
お…しぃ…
「うん、よく言えた。ぴよちゃん、美味しいってよ?」
コオッ…
ぴ…お…しぃ…ょ…
鳴いたぴよちゃんにルリがもう一度言った。
「さて、珈琲でも淹れようか。」
キッチンにいき濡れタオルを持ってきて、ルリの顔を拭う。
右京にもさせていたのか、じっとして顔を拭かれるのを待っていた。
右京に聞いても、答えないだろう。自分でルリと向き合っていくしかないのだ。