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***堕散る(おちる)***
第34章 step34 二十八段目 B4階 約束の日
「次は自分の名前だ。わかるか?」
それが洗脳のキーになっているなどわからない俺はルリに自分の名前を言わせた。
…ゥゥゥ…ワンワン…
「忘れちゃったか?大丈夫だ。俺が覚えてるから…
ルリ、言ってごらん?
ルリ。」
同じようにルリの鼻を指す。
うイ…
「うん、ちょっと違うが大丈夫だ。ちゃんと言えるようになるよ。
ルリだ、る…り…」
う…い…
ら行ばかりで難しそうだが、今はきちんと言えることより、名前があること、自分の名前を覚えることが先決だ。
「そうだ、ルリだ。俺はルリといつも呼ぶよ。わかったかな?」
ワン…
元気よく吠える。
「じゃあ、もう1羽。ぴよちゃん。」
ぴよちゃんを指す。
ぴっ…ぴっ…
「うん、今日はそれでいい。疲れたから少し寝ようか。ルリ…」
ワンワン…
「俺も寝るよ?一緒に昼寝しよう。」
ワン…
俺はそのままルリを抱き上げて寝室に向かう。
俺の方が疲れて少し眠りたかった。
ベッドに下ろすと慌てて降りようとする。
「ルリ、一緒に眠るよ。」
腕を伸ばすと頭を乗せて寄り添ってくる。
右京とこうして寝てたのか…
イライラしたが、その感情の名を俺は知らなかった。